「消費者保護法」一部条文の改正

Wen-Ping Lai/Connie Chen


消費形態の変化に対応し、且つ現行の消費紛争を解決するため、立法院は201562日に改正「消費者保護法」(以下「消保法」と略称)を三読(最終審議)で可決した。今回の改正の重点は以下のとおりである。

一、             附合契約

1.      消保法には既に、「企業経営者は、消費者と附合契約を締結する前に、消費者がすべての約款内容を閲覧、確認するために、30日以内の合理的な期間を与えなければならない」と明確に規定されている。しかし、企業経営者が提供する一部の附合契約に消費者が約款閲覧確認権を放棄することを自ら希望する旨の約款が記載されていることを考慮し、消費者の契約の閲覧・確認に係る権利を保護するため、消費者に閲覧確認権を放棄させる約款を無効とする旨の規定を新たに追加した(第11条の1の第2項)。

2.      附合契約の約款が附合契約書に記載されているか否かを問わず、企業経営者は消費者にその内容を明示又は公告しなければならない。たとえば、自動販売機、コインパーキング及び公共交通機関の契約など、個別の接触を欠く取引、又は取引が頻繁である大量契約など、企業経営者が消費者に附合契約書を交付するのが執行上困難である場合を除き、企業経営者は消費者に附合契約書を交付しなければならず、また、附合契約書に消費者が署名又は捺印した場合、企業経営者は消費者に当該附合契約書の正本を交付しなければならない(第13条)。

3.      中央主務官庁が消費紛争を防止するために特定の業種について定めた、附合契約の記載すべき又は記載すべきでない事項(第17条)を着実に実施することができるよう、企業経営者による附合契約の使用が、中央主務官庁が公告した(附合契約に)記載すべき又は記載すべきでない事項に違反し、期限付きで改正を命じられたものの、当該期限を過ぎても改正しなかった場合、行政過料に処する旨の規定を合わせて追加する(第56条の1)。

4.      企業経営者は、消費者と締結した附合契約が消保法規定と合致すると主張する場合、当該事実について挙証責任を負わなければならない(第17条の1)。

二、             通信取引訪問取引

1.      「通信売買」(「郵購買賣」)という用語を「通信取引」(「通訊交易」)に、「訪問売買」(「訪問買賣」)を「訪問取引」(「訪問交易」)に修正する(第2条)。

2.      通信取引及び訪問取引の企業経営者は、企業経営者を含む連絡方法、及び、商品又は役務の内容、対価、支払期日及び方法、交付期日及び方法などの売買条件、7日間の猶予期間を適用するか否か、消費関連申立の受理方式などを、わかりやすい文章で書面に記載しなければならない旨を明確に規定(第18条)。

3.      消保法は通信売買又は訪問売買について、元来、商品又は役務の特性を区別せずに、一律、7日間の猶予期間を適用していたが、企業経営者と消費者の権利のバランスをとるため、「通信取引に合理的な例外事情がある場合には、適用しなくてもよい」とする規定を追加し(第19条第1項但書)、当該例外事情を定める権限を行政院に委譲した(第19条第2項)。立法委員の議論の方向性から、将来、7日間の猶予期間の適用が排除される製品は、腐りやすい生鮮製品、複製が可能な映像及び音声製品又はソフト応用プログラム(App)などであると思われる。

4.      原消保法施行細則には、通信売買又は訪問売買の消費者が期限内に契約解除を通知した後、企業経営者は通知を受けてから1ヶ月以内に消費者のもとに商品の回収に行かなければならない、と規定されていた。今回の法改正では、企業経営者は通知を受けた日の翌日から15日以内に商品の回収に行かなければならず、また、商品を回収した日の翌日から15日以内に消費者に返金しなければならない、と明確に規定されている(第19条の2)。

5.      企業経営者の広告内容が企業経営者と消費者との間で定める契約に記載されるとは限らないが、消費者が広告内容を信用したため企業の経営者と契約を交わすことを考慮し、「商品又は役務の広告内容は、契約成立後、確実に履行されなければならない」旨の規定を追加し、企業経営者が負う契約責任を広告内容にまで拡大した(第22条第2項)。

三、             消費訴訟

1.      企業経営者に商品及び役務の品質を重視するよう促すため、懲罰的性質を有する賠償金の上限を引き上げ、企業経営者の故意による損害について消費者が請求できる懲罰性賠償金を損害額の3倍以下から5倍以下に引き上げ、また、消費者は企業経営者の重大な過失による損害に対して損害額の3倍以下の懲罰性賠償金を請求することができる旨の規定を追加した。過失による損害については現行の規定を維持し、1倍以下の懲罰性賠償金とする(第51条)。

2.      より多くの適格消費者保護団体(以下「消保団体」という)が消費者のために団体訴訟を提起することができるよう、また、弁護士の消費訴訟への参加意欲を高めるため、今回の改正では、消保団体が団体訴訟を提起する際の要件を緩和するほか、「消費者保護官の同意を得なければならない」及び「弁護士は報酬を請求してはならない」とする規定が削除された(第49条)。

3.      また、重大な消費事件(例:食品安全問題)によって多くの消費者が損害を受け団体訴訟を提起する必要がある場合につき、中央主務官庁又は行政院は迅速に消保団体に協力し消費訴訟の提起を要請しなければならない旨規定(第60条)。


TOP